SIKO FEATURED

Kメッセレポート②

包装業界レポート

2019年10月に開催されたKメッセにおいて編集長の独断と偏見で印象的だった企業ベスト3の紹介をさせて頂きます。それぞれの商品に独自性があり、「今あるものをより安くする」ではなく「新しい付加価値を提供する」というコンセプトに基づいているように感じました。このコンセプトを念頭においた企業づくりを目指していきたいと思います。

①W&H社 PE valve sack

「両底袋の素材を紙からまるまるポリエチレンへ」

セメント(25kg)の包装容器として一般的なクラフト紙を使用した両底袋を、素材のみ丸々ポリエチエレンにした包装形態の紹介です。素材コスト自体はアップになりますが、それを補う付加価値が認められヨーロッパを中心に普及しているそうです。この包装形態は一部ケミカル向けにも採用されていますが、主な用途はセメントです。マイクロプラスチックなど環境問題に厳しいイメージのヨーロッパであっても、トータルメリットがあれば採用していくようです。

特長

・紙袋と同じ充填機での使用が可能
→充填機への設備投資が不要。また、包材の機能で「漏れ防止」、「脱気」を実現。

・優れた防水性により品質保持期限が延びる
→事例としてドイツのセメントではシェルフライフが2倍になる
イギリスのセメントは安価なものも含めて50%がPE化

・優れた強度
→ポリエチレンで一般的なガセット袋(ヒダ加工のあるPE袋)に比べて、強度に優れるので破袋リスクの低減に寄与。(袋の構造上、ガセット袋に比べて落袋強度に優れる)

②TPIPLEX

「様々な素材を貼り合わせるプラダンメーカー」

ドイツのポリプロピレン(PP)加工メーカーです。名前の通り3種類のPPを貼り合わせて11枚の強度のあるシートに仕上げます。以前より展示会で見かけることはありましたが、日本でいうところのプラダン用途が中心で自動車産業向けが中心でした。今回の展示会ではPPを中間層に不織布とHDPEで挟み込んだ製品が展示されていました。不織布の通気性とHDPEの防水性を利用してトンネル工事の内壁などに利用されているそうです。日本の法律に適合しているかなどは不明ですがリニアを開通させる為の工事にこういったものが使われると便利なのかもしれません。

特長

  • 通気性と防水性を持つ貼り合わせのシート
  • ディンプル構造(凹み)で一方向へはしなやかに曲がり、逆方向へは曲がらない。

③Ergo Pack

「人間工学に基づいた梱包補助ツール」

こちらはパッケージングそのものではありませんが、梱包の補助ツールとして印象的でしたのでご紹介します。パレット梱包の際に使用するPPバンド掛けの作業を簡略化するものです。どのようなものかは文章説明するよりも以下URLから動画を確認して頂いた方がわかりやすいです。
展示会場においても自社製品をシンプルに伝えるパラパラ漫画のような資料を用意されていたので、人間工学(Ergonomy)という難しい切り口を非常にわかりやすく伝える方法は見事の一言です。